砂川福音キリスト教会

石炭産業と化学が栄えた町、砂川市にある唯一のキリスト教福音派の教会であり、既存の礼拝堂の建て替えです。旧会堂は築40年以上経過した歴史あるものでしたが、断熱、防水が特に劣化していた為、随分と前から新会堂の建設を願っていたようです。

現状の礼拝参加者だけでなく次世代を担う将来の教会員が安全で快適でメンテナンス性に優れた礼拝堂を提案することになりました。

 

「素」

計画の当初は、様々な希望が盛り込まれたものでしたが、コストの関係から、幾度となく打ち合わせして、我慢できると思えるものをそぎ落として、残ったものを最終的なプランとしてまとめることで、教会建築としてブレのない純粋な原石の様な建築になりました。

最終的に礼拝堂は礼拝のみならず、食事、レクリエーション、地域開放カフェなど多目的に使う様に考えられることになりました。

内装素材は、屋根架構をメインとして極力、木材の表し仕上とすることで、温かみのあるザックリしたイメージをつくっています。また、ホール側にある小屋裏物置も屋根型による余剰空間を積極的に活用するアイディアです。

礼拝堂と外部の登梁はトラス形式の流れである下弦材タイバーを採用しています。これは7m越えの無柱空間を確保したいこと、及び旧会堂の天井高さ約3mを意識させる位置にタイバーを設け、教会員が視覚的に違和感なく馴染める高さに設定しています。

 

「光」

礼拝堂は自然光の取り入れ方をどのようにするかが重要なポイントとなります。

礼拝堂への柔らかい光をどのように取り込むか考えた末、しっかりと軒を出して直射日光をコントロールすることにしました。この軒の出は多雪地域の落雪屋根における外壁への堆雪をある程度抑制できるのではないかと考えています。

礼拝堂の正面上部にはハイサイド窓を設け、フロストガラスとすることで柔らかな自然光が降り注ぐ中で、礼拝が出来るように配慮しました。

照明の光ですが、クリアタイプのLED電球を用いることで、下面だけでなく天井面も照らしてくれることにより、温かみのある雰囲気と照明箇所の減少に一役買っています。

 

「祈り」

礼拝堂に一番大事なのは、講壇に立たれた牧師先生に出来るだけ集中でき、祈りを妨げないような備えです。 外部からの直射日光や天候急変、温熱環境になるべく心が乱されないように建築が如何に手助け出来るかということでしょう。

今まで述べてきたことは全て、「祈る」ことに集中できるためのしつらえがあるということです。

そのような意味で、精神的にも建築的にもプリミティブな空間を形に出来たことは幸いなことでした。














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